取らぬ狸の胸算用

思い込みが激しい

今日のヒルナンデスの春日

今日のヒルナンデス、自分の中でめちゃくちゃ印象的な場面があった。

ちょうど13時くらいにやってた「街角の20代が選ぶマッチョな有名人トップ10(うろ覚え)」を当てるコーナー。レギュラーメンバーがきんに君とかダウンタウン松本の名前を挙げる中、水曜レギュラーのオードリー春日が真面目な顔して

 

 

三島由紀夫

 

と言ったのだ。

 

 

 

………満点大笑い。

こんなに笑ったの3月に入ってから初めてってくらい、意表を突かれてめちゃくちゃ笑った。

芸人や俳優の名前の中に突如現れた文豪・三島由紀夫のミスマッチ感が面白いというのもあるけど、何よりその回答が春日から出たということが涙が出る程面白い。意外なようで妙に納得する絶妙な取り合わせ…。

 

まあ三島由紀夫ってほんとにゴリゴリの人だから、「マッチョな有名人」で三島由紀夫を連想するのは全くもって正しいんだけども、それってちょっと賢い文系大学生が仲間うちで戯れてる時にニヤニヤしながら挙げがちな回答であって、例えばQuizKnockの人たちがクイズ動画で言ってるなら全然驚かないし「はいはい」って思うんだけど…まさかあの春日が三島由紀夫出してくるなんて、誰も思わないでしょ。いやー、かなり尖ったボケだ。

 

春日ってこれなんだよな!と改めて思う。

前にtwitterか何かで見たんだけど、春日ってあんな後先考えない飛び道具的自由人みたいな人なのに、手塚治虫の『MW(ムー)』が好きだったりするらしい。

 

MW (1) (小学館文庫)

MW (1) (小学館文庫)

  • 作者:手塚 治虫
  • 発売日: 1995/02/17
  • メディア: 文庫
 

 『MW』は私も結構好きで漫画持ってる。でもこれってま~~~楽しくない話なんだよな。同性の恋人が猟奇殺人犯だと知りながら爛れた関係を断ち切れない神父が主役で、最初から最後までずっと血みどろの楽しくない話が続くだけ。でもそれをあの春日が好んで読んでいるらしい。

 

実際、こういう人っていますよね。本人は結構溌剌としてて、馬鹿にされても呑気に構えて笑ってるのに、集めてるものはえげつない人。別に頭もそんな良い訳じゃないし、ちょっと真剣な話を投げかけてみればキョトンとつまらなそうにしているくせして、「どっから見つけてくんの!?」みたいな陰鬱な本を読んでたりする。「そんなもん好んで読むわりに、影響受けて無さ過ぎじゃない?」って心の底から不思議に思う。

 

私はいわゆる若林タイプで、見た目通り明るくないし、好きなものも大抵閉塞的かつ個人的。嫉妬深くて理屈屋の自分を納得させてくれるものに感動しがちで、好きな漫画や曲を挙げても大概「好きそうだよね~」と苦虫噛み潰したような顔を他人にされる。

そういう「見るからに」のタイプだからこそ、春日みたいな突破力ある人って理解不能すぎて惹かれてしまう。お前こんなにのらりくらりと生きてるくせに、何で私みたいな卑屈な人間と同じものに辿り着いてんだ!?

 

ああいう人見るとよく思い出す言葉があって。

呑気と見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする。

(夏名漱石吾輩は猫である』)

これ昔は「何も考えてなさそうに見える人達はそういう素振りを見せないだけで、心の底には深い孤独を抱えてる」的な意味合いだと思ってたんだけど、実際のところはそういう辛きを耐える人々のことというよりは、まさに春日みたいな人のこと指してんじゃないかなって最近しみじみ感じ始めた。

 

隠された孤独とかじゃなくて、何も見えない。何があるのか底があるのか、どこに熱があるのかわからない。近づいてその孤独とやらに触れてみたいと好奇心が騒げど、近づけるのかどうかも不明。ただなぜか、自分と同じ鬱屈の温度をどこかに持っているらしい…。

神聖な雰囲気をまとってるとかは全然ないんだけど、頭だけちょっと宙に浮いているのだ。カツラとかじゃなくてね。決して暗い人ではないしむしろめちゃくちゃおおらかなのに、DNAに刻まれた闇を感じずにいはいられない。

例を挙げるとサバンナ八木とか博多華丸とかもコレだと私は思ってて(パっと思いつくのが男芸人ばかりなのも不思議)、しかもそう考えるとこの人たちの相方って結構自分と似ていたりする。私はオードリー若林もサバンナ高橋も博多大吉も全員苦手なんだけど、それはやっぱり自分に似ているからなのだ。

やっぱこのタイプの人達ってあのタイプに惹かれてしまうんだろうな…。

 

クイズの回答ひとつで色々と再認識させてくる春日という人間、奥が深い。いや奥なんてないのだろうか。とにかく私も今後マッチョな有名人の連想を求められたらビシッと三島由紀夫をキメたいが、でもこれは、私がやってもつまらないのだ。突破力って天性なのかそうでないのか…それすら全くわからない。