取らぬ狸の胸算用

思い込みが激しい

『ドラゴンクエストⅪ』はじめてのドラクエ

Switch版のⅪSを始めて苦節3か月、じっくり遊んでようやく真エンドまでクリアした。
いまレベル95くらいで、プレイ時間もちょうど95時間。

 

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【通常版】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S - Switch

【通常版】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S - Switch

 

 

世代的にはど真ん中の筈のドラクエだが、自分は冒険RPGだとテイルズとスタオーで育ったタイプだったので、ドラクエはこれが初めて。実際プレイしてみるとやっぱり国民的ゲームなだけあってファンとの約束事みたいな定石が出来上がってて、新参者としては最初ちょっと戸惑う箇所もあったけど、数時間したら順応できた。

名作という下馬評は当然聞いていたので、まあその割には普通かなーと思いながらちまちま休みつつ進めていたが、異変後にいきなりシナリオが面白くなり、そこからはもう寝る間も惜しんで夢中になってしまった。

ゲームはライトに楽しむ派なので専門的なことは何も言えないけど、そんなライト勢のはじめてのドラクエの印象をキャラクター・ストーリー・戦闘の3点に分けて書いてみた。以下ネタバレあり、クリア済みの人向け。

 

キャラクター

みんなわりとテンプレキャラなのに魅力的な奥行きあるし、パーティ全員もれなくドのつく人格者で気持ちいい。全員好きだけど主人公(イレブン)、カミュ、ベロニカの初期3人が特に好き。
ゼルダBotW以来の長編RPGだったので、終始リンク1人でサバイバルしてたゼルダとのギャップが凄まじい。仲間が後ろをぴったりついてくるのも自分としてはかなり新鮮。「ドラクエは仲間に囲まれて和気藹々としてていいね~」…って思ってたら中盤めちゃくちゃ孤独な展開になったから驚いた。イレブンとシルビアはこういうシナリオありきで余計好きになれるから、そのへんがいいね。

まあシルビアとかは元々超面白いけど、異変後の個別パートがシルビアで始まった時のあの安心感とわくわく感は凄まじかった。あの底抜けの朗らかさがシナリオに染みてる。イレブンも…時渡りというイベント自体には是非を訝しんだりもするけど、時渡りがあるからこそイレブンの孤独で勇敢な16歳としての像が浮き彫りになるし。

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異変後の世界の兵士

道中の仲間の台詞がかなり頻繁に変わったり、着せ替えも豊富だったり全員との結婚イベントもあったりしてキャラゲーとしての要素も強いと思うけど、皆ちゃんと駒してるし、単なるキャラクターショーでは全くない。

 

そして主人公って名前変更できるけど、もうこれリンクみたいに名前くらい固定でいいんじゃないだろうか。「主人公=あなた」っていうのがドラクエの伝統なんだろうなというのは想像できるけど、新参者からすると却って不自然に感じる。主人公に台詞ついててもいいと思うし、それは無理でも名前はイレブン固定でいいんじゃないだろうか。昔ならいざ知らず今はこんな綺麗なグラフィックで固有の見た目がつけられてる訳だし…。ポケモンみたいにオンラインありきのゲームなら確かに主人公はアバターとしての役割が強くなるけど、全然そんなんじゃないんだから。自分もプレイしててイレブンというキャラを好きになったし、「イレブン」って仲間に呼ばれる声を聞いてみたかった。

 

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勇者(パレードのすがた)

あと素朴な疑問だけど、ドラクエのキャラってみんな苗字ないね。RPGってやたらと名前作り込んだりするのがデフォだと思ってたから、そこがすごい不思議な感じした。まあポケモンとかもそうだし、やっぱ子ども向けだからかな。みんな名前しかないから、逆にキナイ=ユキの唐突感にちょっとわろてしまった。王様だと名前すらないし、一貫して「デルカダール王」とか呼ばれてるのもなんか面白い。臣下のグレイグすら絶対にデルカダール王呼びだもんな。常に国名込みで呼ばれる王ってのも珍しいよね。あなたの名前は何なの?って…。でもよく考えたらハイラル王とかもそうだね。

 

シナリオ・世界観

ルノーガ倒すまでは貫録あるくらいの王道ストーリーで気持ちよくやってたけど、やっぱり時渡りでちょっと引いてしまった。異変後に皆で積み重ねたものを全否定してるようなもんだし、苦難を乗り越えたり非業の死を遂げたりしたキャラの見せ場が結局なかったことになってしまったのがどうも呑みこみきれない。誰も死なない世界に巻き戻せれば一番いいってのはその筈なんだけど、仲間と一緒に時渡りするんじゃダメだったのかなあ。シナリオも時渡り後は駆け足ダイジェスト感があって、特にカミュとマヤの件があっさりしすぎてたように思う。とはいえどんどんクエストとか装備集めとかやりこんでると何となくそのあたりも有耶無耶になって納得できるようになるんだが。ただそれでもふと「そういや時渡り前の世界は結局どうなったんだろう」って思いを馳せると、何だか虚しい風が吹く。ロウおじいちゃんが可哀相で仕方ない。

ただ上に書いたように、時渡りがあるからこそイレブンが魅力的になってるのは間違いない。プレイヤーだけがイレブンの身の上を知っている目撃者であって、それはまるで秘密を共有してるようなメタ的な感覚を起こさせる。実際、時渡りのシーンで「主人公=自分」って感覚は私の中で完全に消滅した。だって自分だったら絶対戻りたくない。そんな度胸ある訳なし。戻らなきゃゲーム進まないから戻るけど、ああいう場面に一人称で立たされた時に過去に戻る決断ができるのはやっぱり勇者だからであって、プレイヤーとしての自分はもうここで「いやー、勇者はすごいなあ。僕にはとてもできない」と完全に見守りおばさんの視点になった。男性だとちょっと感覚違うだろうけど。

 

そしてドラクエ初めてなのでよくわからないけど、ドラクエって古代ギリシアがモチーフなんだろうか。ホメロスとかウラノスとか、随所でギリシア名が出てくるし、ケトスだってギリシア神話海獣ケトスそのまんまだし、終盤のレア装備なんかはオリンポス十二神の名前を冠してある。ギリシア神話オマージュ自体はファンタジーあるあるにしても、因みすぎな気がするけどな。ドラクエって代々そうなんだろうか。

 

またこれはドラクエに限った話ではないが、西洋風の冒険RPGって古代もしくは現代~近未来しか舞台にならないなあと改めて思った。中世~近代が舞台のRPGって、探せばあるんだろうけど日本では売れづらいのかあんまり聞かない。ドラクエⅪはもろ古代、地球でいう紀元前2000年くらいの世界(いろいろ目をつむって)なんじゃないかと思うけど、他の有名和製PRGも大概が古代か現代モチーフじゃないだろうか。その一番の理由としては、中世から近代にかけての西洋を舞台にするとなると神の概念に自由がきかないからだと思う。描かない訳にもいかないが、描き方で遊べる程の創作性も許されないセンシティブな題材になってしまうので、考えにくそうだもんな。洋ゲーだとどんな感じになってるんだろう。完全に脱線ですが。

 

戦闘

ターン制の戦闘ってポケモンくらいしか経験がなかったけど、面白かった。スピード感や爽快感には欠けるけど、そもそもドラクエの戦闘でそんなものを求めるのがお門違いだったというか…他のゲームには感じたことない種類のコミカルな軽快さがある。「誘うおどり」とか状態異常の種類が多くて楽しいし、おいろけ技でHPを削れるっていうのも新鮮に驚いた。フリー移動バトルは最初「移動できるだけで実質意味ないじゃん」って思ってたし実際あんま意味はないけど、これがないとだいぶ味気ないってくらい必要な要素だったってことが長くやってるとじわじわわかる。敵も味方も角度変えてじっくり見れるのが楽しい。キャラのステータスや術技の割り振りもよく出来ててみんな強いしみんな必要。ずっと二軍待機みたいなキャラがいなかった。スキルパネルもいいな。カミュが中盤目も当てられないほど弱くなったと感じてたけど、会心必中やらぶんしんやら二刀の極意やら、終盤めきめき盛り返して大活躍した。

モンスターのデザインも良すぎ。序盤はそれにびっくりしっぱなしだった。鳥山明ってすごいな。有名なスライム系統以外も初見で「なにこれ!?」って思わされるモンスターばっかり。いっかくウサギ、おおきづち、ズッキーニャ、ハッスルじじい、ぬすっとウサギ、れんごく伝馬あたりが特に好きだな。

 

…ていうかこのゲームにおける「魔物」って何なんだろう。人間を襲う悪い生き物で、現実で言うところの凶悪動物みたいなもんかと思ってたけど、途中当たり前のようにモブの魔物が喋り出したところでかなり面食らった。モブレベルでも人語解するんかい。それなら意思の疎通できるんだから、人間と魔物で和解を試みようとかいう発想があってもおかしくないと思うし、モブ魔物相手だったらメダ女で実際に共存までしてるじゃんと言いたくなる。

序盤でテオおじいさんの「人を恨んじゃいけないよ」って言いつけがあったし、中盤でも恐らく重要と思われるシーンでぺルラお母さんが「相手を理解して、話し合おうとすることが大事」って言ってくるから、「成程そういう伏線か!魔物に説得を試みる展開があるのかな」と思ってたけど、これもグレイグやデルカダール王国みたいな人間同士の諍いのことのみで完結しちゃって、ボスである魔物のウルノーガ様とか邪神ちゃんに対しては徹頭徹尾「懐柔不可能な凶悪生物」として立ち向かっていったところに若干違和感がある。結局のところ二項対立なんだなあと思ったけど、それで済ますには魔物にあまりにも愛嬌がありすぎるというか。

 

それにシンボルエンカウントの魔物の配置が明らかに設定付きだったりする。

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みんなで遊んでる

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魔物どうしで決闘してる

こういうの見ると「魔物めちゃくちゃ素朴な知的動物やんけ」と思ってしまうし、これを経験値稼ぎと見て乱入・乱獲する自分達の方が悪魔的だなと苦笑してしまう。しかもたまに「魔物ってか、人間だよね?」って問い正したくなるような見た目の奴もいるし。人間でも荒くれとかほぼ魔物と区別つかない。ロトゼタシアって何だか不安定な生態系なんだな。それが面白いと言えば面白いけど。

 

総合

と、熱が有り余って文句じみたことも書いちゃったけど、ドラクエⅪS、とっても楽しかったです。

個人的には魔法陣グルグルの元ネタもたくさん見れて面白かった。グルグルがほぼドラクエネタなのは知ってたけど、元ネタを自分で体験しないまま読んでたから、今回逆アハ体験みたいなのがいっぱいあって楽しかった。

そして何と言っても、画面を見てるだけでわくわくできるし、不思議な懐かしさが充満している。はじめてのはずなのに懐かしい。ちゃんとお約束を用意してくれる安心感というか、そうそうこれだけを待ってたんだと机叩きたくなるような高揚感。次のシリーズもSwitchで出してくんないかなあ。ハード揃えるのだけが難関だ…。

 

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