今をときめく4人組バンドOfficial髭男dismの2019年の大ヒット曲「Pretender」
別にいいんだけど、この曲がこんなに流行るってことは、そーゆーことなの? みんな、この歌詞に共感しちゃってるってことか。
そーゆー時代だってことか。
あれ、歌詞をよく見ると「結局、顔は好きだけど性格は好みじゃない」ってことに終始するように思えるんだけど、そういう身も蓋も無い感情をナイーブに情感的に歌い上げるのが今の世間に受けるのかね。
みんな身も蓋も無いことばっか考えてる筈なのに、それを表立って主張しにくい世の中だからかな。そういうことでしょうか。
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな
いやそれ、全部違うじゃん!!見た目しか残ってないじゃん!
…って思わないのかな皆。気づいてるけど敢えて言わないだけか。そこ言っちゃったらこの曲の歌詞の一番の旨味が失われるから…。
とはいえ、私だって初めて聴いた時は「実らない片思いの曲なのかな。だからこんなにうじうじしてるのね」って成程成程とうなずきながら聴いてた訳。好きになった人には既に恋人がいたとかね。だから諦めきれない歯がゆさを歌ってんのかと思ってた。
しかし。
その髪に触れただけで痛いや
……。
………いや、いつ髪に触れちゃってんの?
※画像は心象のイメージ
要は恋人同士なんだよね。恋人同士で、好きなんだけどなんか噛み合わなくて、一緒にいてしんどいと。だから別れるしかないんだけど…みたいな状況を歌ってる。
恋人同士だとわかった途端に陳腐化する感傷ってあるけど、この曲ってまさにそれで、恋人同士なら運命とかいう意味わかんない概念持ちだしてエモーショナルな気分に浸ってる場合じゃないと思うんだよな。
あと単純に美化しすぎだ。やっぱ顔は好きだけど性格は合わないって結論なのに、すごい綺麗に感傷的に歌い上げているから、いや全然内面化されてないじゃん、全然自分のこと省みてないじゃんってツッコミたくなる。
実際、自分が今付き合ってる男性に「君の運命の人は僕じゃない」って言われたらただただムカつくだけと思うんよね。じゃあ誰なんですか教えてPlease tell meって感じ。歌詞の最後で「君は綺麗だ」とか言ってるけど、あれで機嫌取られちゃダメだ。セコすぎるから…。
別れる男女の曲と言えば私はゴーティエのSomedoby that I used to knowが大好き。
(下のは公式ビデオだけど、YouTubeで日本語字幕付きの動画もあった)
Gotye - Somebody That I Used To Know ft. kimbara Official Music Video
何が良いかって真実を表現してるからいいんだよ。Pretenderはやっぱ嘘で、あれは嘘だからこそのニーズがあるんだと思うけど、私の好みで言うと虚飾無しで真実を表現してる方が好き。
とはいえPretender、あのキャッチーなメロディーは確かに良いよね。歌詞には断固反対するけど、メロディーはやっぱ口ずさみたくなっちゃうもんね。口ずさんでることに気づいて圧倒的敗北を認めるところまでがセットになってる。
Pretenderについてこんな悶々とした思いを抱えていた自分としては、他の人の感想、特に同世代女性の感想を聞いてみたいと思って長いこと職場でも機会を伺っていた。そしてこの前やっとタイミングが巡ってきて、後輩女子に聞けたんですね。
「Pretenderについて、どう思う?」
返ってきた答えはごく単純かつ、極めて説得性の高いものだった。
「どうも思いません」